特定技能1号の受入れ見込数が805,700人に再設定|分野別の充足率と企業が今すべきこと

令和8年1月23日、政府は特定技能制度と育成就労制度の分野別運用方針を閣議決定しました。これにより、特定技能1号の受入れ見込数(上限)は805,700人に再設定されています。対象期間は令和11年3月末までです。

「上限」と聞いても、これまでは実感の薄い数字でした。しかし状況は変わりました。令和8年4月には外食業分野で新規受入れが原則停止となり、制度開始以来はじめて「枠が埋まる」ことが現実に起きています。

この記事は、特定技能外国人を雇用している企業のご担当者、これから採用を検討されている企業のご担当者、登録支援機関のご担当者に向けたものです。今回の再設定の内容と分野別の充足状況を整理し、自社の分野にどれだけ枠が残っているかを確認したうえで、今すべきことをまとめました。

目次

結論:まず押さえておきたい5つのポイント

  • 特定技能1号の受入れ見込数は805,700人、育成就労は426,200人。合計1,231,900人が令和11年3月末までの上限です。
  • 対象分野に「リネンサプライ」「物流倉庫」「資源循環」が加わり、全19分野になりました。
  • 令和8年3月末時点の在留者数は404,527人、全体の充足率は50.2%。ただし分野ごとの差が非常に大きい状態です。
  • 外食業は充足率95.4%に達し、令和8年4月13日から新規受入れが原則停止されました。ただし在留期間更新と分野内の転職は通常どおり審査されています。
  • 飲食料品製造業(72.2%)、建設(67.2%)、介護(58.9%)も枠に余裕があるとは言えません。採用予定があるなら、申請時期の前倒しを検討する段階です。

※本記事は2026年8月時点で公表されている情報に基づく一般的な解説です。実際の可否は個別の事情によって異なりますので、具体的なご判断は最新の運用をご確認のうえ、専門家にご相談ください。

特定技能1号の受入れ見込数が805,700人に再設定されました

今回の閣議決定のポイントは、次の4点です。

  • 特定技能1号の受入れ見込数は805,700人
  • 対象期間は令和11年3月末まで
  • あわせて育成就労制度は426,200人と設定され、両制度の合計は1,231,900人
  • 特定技能制度と育成就労制度の分野別運用方針が、一体的に定め直されました

「受入れ見込数」とは何か

受入れ見込数とは、その分野で受け入れることのできる特定技能外国人の上限人数です。単なる努力目標ではなく、実際の上限として機能します。そのため、分野の在留者数がこの数字に達すると、その分野の新規受入れは止まります。

これまでは全体の充足率が低く、上限を意識する場面はほとんどありませんでした。その前提が、外食業の受入れ停止によって崩れたことになります。

新たに3分野が追加され、全19分野に

今回の閣議決定では、対象分野に「リネンサプライ」「物流倉庫」「資源循環」の3分野が追加されました。これで特定技能1号の対象は全19分野となります。

追加された3分野は、令和8年3月末時点でまだ在留者数の計上がありません。該当する業種の企業様は、試験の実施時期や協議会への加入要件など、運用開始に向けた情報を早めに押さえておくことをおすすめします。開始時期や要件は分野ごとに異なるため、所管省庁の公表資料でその都度ご確認ください。

「上限」は現実に作用します ― 外食業では受入れが停止しました

令和8年3月27日、外食業分野の特定技能1号について受入れ上限の運用が公表され、同年4月13日以降、新規の受入れが原則停止されました。外食業の受入れ見込数50,000人に対し、在留者数が上限に達する見込みとなったためです。制度が始まって以降、分野の枠が埋まって受入れが止まった初めてのケースになりました。

停止の対象と対象外は、次のように整理されています。

原則として認められないもの(令和8年4月13日以降に受理された申請)

  • 海外からの呼び寄せ(在留資格認定証明書交付申請)……不交付
  • 他の在留資格から外食業の特定技能1号への在留資格変更許可申請……原則として不許可
  • 外食業分野に係る特定活動(特定技能1号移行準備)への在留資格変更許可申請……不許可

引き続き認められるもの

  • すでに外食業で特定技能1号として在留している方の在留期間更新許可申請(通常どおり審査)
  • 外食業分野で在留している方からの分野内の転職に伴う申請(通常どおり審査)
  • 技能実習修了者や、すでに許可を受けた特定活動からの移行(受入れ見込数の範囲内で順次許可)

つまり、すでに雇用している方の在留が直ちに失われるわけではありません。一方で、新しく採用しようとしていた企業様にとっては、採用計画そのものの見直しが必要になります。なお、停止の解除時期は本記事作成時点で公表されていません。

外食業の停止措置の詳細は、【令和8年3月27日発表】特定技能1号(外食業)の受入れ停止措置とは?でも解説しています。

すでに提出した申請はどうなるのか

4月13日より前に受理された申請は、審査のうえ、受入れ見込数の範囲内で順次処理されています。出入国在留管理庁は外食業分野の審査状況を継続的に公表しており、2026年8月10日掲載の内容では、おおむね次の状況です。

申請の種類審査状況(2026年8月10日掲載時点)
在留資格認定証明書交付申請受付日が令和8年1月5日までの申請を順次交付
技能実習からの変更許可申請令和8年7月31日までの申請を許可
特定活動(移行準備)からの変更許可申請令和8年7月31日までの申請を許可
同一分野内での転職に伴う変更許可申請すべての申請を許可
その他の在留資格からの変更許可申請令和8年4月12日までの申請を許可(以降は原則不許可)
在留期間更新許可申請通常どおり、審査終了次第許可

この審査状況は随時更新されます。外食業分野の申請を出している企業様は、出入国在留管理庁の該当ページを定期的にご確認ください。

分野別の充足率 ― 自社の分野はどこまで埋まっているか

出入国在留管理庁の公表値(令和8年3月末時点・速報値)では、特定技能1号全体の在留者数は404,527人、充足率は50.2%です。全体で見ればまだ半分ですが、分野ごとの差は非常に大きくなっています。

特定技能1号の分野別充足率を示す横棒グラフ。外食業が95.4%で最も高く、全分野合計は50.2%
特定技能1号の分野別充足率(令和8年3月末時点・速報値/出入国在留管理庁の公表値をもとに作成)
分野受入れ見込数在留者数充足率年間増加数
外食業50,000人47,714人95.4%16,498人
飲食料品製造業133,500人96,367人72.2%20,509人
建設76,000人51,055人67.2%9,957人
介護126,900人74,745人58.9%26,332人
農業73,300人39,950人54.5%9,438人
航空4,900人2,577人52.6%937人
自動車整備9,400人4,925人52.4%1,646人
造船・舶用工業23,400人11,471人49.0%1,514人
漁業14,800人4,842人32.7%1,232人
工業製品製造業199,500人59,038人29.6%12,962人
ビルクリーニング32,200人9,202人28.6%2,560人
宿泊14,800人2,207人14.9%1,365人
鉄道2,900人59人2.0%49人
自動車運送業22,100人333人1.5%332人
林業900人8人0.9%8人
木材産業4,500人34人0.8%34人
リネンサプライ4,300人
物流倉庫11,400人
資源循環900人
全分野合計805,700人404,527人50.2%105,373人

※年間増加数は、令和7年3月末と令和8年3月末の在留者数の差(速報値)です。リネンサプライ・物流倉庫・資源循環は令和8年1月に追加された分野のため、在留者数の計上がありません。

増加ペースから見た「残り枠」の目安

あくまで単純計算ですが、直近1年の増加ペースがそのまま続いた場合、残っている枠の見通しは次のようになります。

  • 飲食料品製造業……残り37,133人に対し、年間20,509人増。2年もかからずに上限へ届く計算です。
  • 介護……残り52,155人に対し、年間26,332人増。こちらも2年ほどで上限に近づきます。
  • 建設……残り24,945人に対し、年間9,957人増。3年もかからないペースです。
  • 工業製品製造業……残り140,462人に対し、年間12,962人増。当面は余裕がある水準です。

実際の増加ペースは、試験の実施回数や送出し国の状況、育成就労制度への移行などによって変動します。この数字はあくまで目安としてご覧ください。それでも、飲食料品製造業・介護・建設が「数年のうちに上限が視野に入る分野」であることは押さえておく必要があります。

企業様が今から備えておきたい3つのこと

1. 採用予定は前倒しで検討する

充足率の高い分野では、枠が埋まってからでは手が打てません。外食業でも、停止が公表されてから適用されるまでは、2週間あまりしかありませんでした。今年度中に採用を予定している方がいるなら、申請時期を後ろ倒しにしない判断が重要になります。

2. 在留期限と5年通算をあわせて管理する

特定技能1号の在留期間は通算5年が上限です。更新の可否そのものは受入れ停止の影響を受けません。ただし通算5年に達する方については、特定技能2号への移行や他の在留資格への変更を早めに検討する必要があります。

通算5年は、初めて特定技能1号の在留資格を取得した時点から数えます。転職しても起算日は変わりません。実際のところ、起算日が曖昧なまま管理されているケースは少なくありません。特定技能2号については、特定技能2号に「在留5年」が新設へ、および2号特定技能外国人の「誓約書」提出もあわせてご覧ください。

3. 育成就労制度への移行を見据える

技能実習制度に代わる育成就労制度は、令和9年4月1日の施行が予定されています。受入れ見込数は426,200人です。技能実習で人材を受け入れてきた企業様は、制度の切り替えを前提とした採用設計に移る時期にあたります。制度の全体像は2027年開始「育成就労」制度をやさしく解説で説明しています。

よくある質問

Q. 上限に達すると、今いる社員は働けなくなりますか。

A. いいえ。外食業分野の運用では、すでに在留している方の在留期間更新は通常どおり審査されています。分野内の転職に伴う申請も同様です。停止の対象は、主に海外からの新規受入れと他の在留資格からの変更です。ただし取扱いは分野や時期によって変わり得るため、個別の事案では最新の運用をご確認ください。

Q. 外食業以外の分野も停止される可能性はありますか。

A. 本記事作成時点で、外食業以外の分野について停止措置は公表されていません。ただし受入れ見込数は上限として機能するため、充足率の高い分野で同様の措置がとられる可能性を否定することはできません。分野ごとの公表値を定期的に確認することをおすすめします。

Q. 外食業の停止はいつ解除されますか。

A. 解除の時期は公表されていません。受入れ見込数は令和11年3月末までの数字として設定されているため、今後の見直しや在留者数の推移によって取扱いが変わる可能性があります。

Q. 新しく追加された3分野は、いつから受け入れられますか。

A. リネンサプライ・物流倉庫・資源循環は令和8年1月に対象分野へ追加されましたが、実際の受入れは分野ごとの基準や技能試験、協議会の整備が進んでから始まります。開始時期は分野によって異なりますので、所管省庁および出入国在留管理庁の公表資料をご確認ください。

Q. 育成就労が始まると、特定技能の枠はどうなりますか。

A. 今回の閣議決定では、特定技能1号805,700人と育成就労426,200人が別々に設定され、合計1,231,900人となっています。育成就労は令和9年4月1日の施行が予定されており、技能実習にはなかった上限が新たに設けられた形です。

まとめ

特定技能1号の受入れ見込数は805,700人に再設定され、対象分野は19分野に広がりました。全体の充足率は50.2%ですが、外食業はすでに上限に達して新規受入れが停止し、飲食料品製造業・建設・介護も決して余裕のある水準ではありません。今のペースが続けば、これらの分野も数年のうちに上限が見えてきます。

大切なのは、自社の分野の充足率と増加ペースを把握したうえで、採用の時期を判断することです。あわせて、在留期限と通算5年の管理、育成就労制度への移行準備を並行して進めておくと、制度の変化に慌てずに対応できます。

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たかやま行政書士事務所では、特定技能をはじめとする外国人材の在留資格申請を取り扱っています。

  • 特定技能1号の在留資格認定証明書交付申請・変更申請・更新申請
  • 在留期限と通算5年の期限管理
  • 特定技能2号への移行、他の在留資格への変更の検討
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「自社の分野はあとどれくらい枠が残っているのか」「今いる社員の在留期限は大丈夫か」といったご相談も承っております。どうぞお気軽にお問い合わせください。


参考にした公的情報

※本記事は2026年8月15日時点の公表情報に基づいています。制度の運用は変更される場合がありますので、最新の情報は出入国在留管理庁の公表資料をご確認ください。また、本記事は一般的な解説であり、個別案件の判断に代わるものではありません。

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