育成就労の受入れ見込数が42万6,200人に|特定技能と合わせて約123万人|行政書士が解説

令和8年1月23日、政府は特定技能と育成就労の分野別運用方針を閣議決定しました。ここで示されたのが、今後5年間で受け入れる外国人材の人数の枠です。今回はじめて、育成就労の受入れ見込数が定められました。

特定技能が80万5,700人、育成就労が42万6,200人。合わせて123万1,900人です(令和11年3月末まで)。とくに注目すべきは、育成就労の枠が今回はじめて設定されたことです。前身の技能実習制度には、こうした人数の上限がありませんでした。

この記事は、外国人材の受入れを計画している企業のご担当者に向けて、閣議決定資料の原本から数字を確認し、両制度を合わせた全体像と、分野ごとの偏りを整理したものです。

目次

結論:まず押さえておきたい5つのポイント

  • 合計123万1,900人。特定技能80万5,700人+育成就労42万6,200人(令和11年3月末まで)。
  • 育成就労は初めて枠が設けられました。技能実習制度には受入れ見込数の設定がありませんでした。
  • 受入れ見込数は「上限」として運用されます。目標値ではありません。枠が埋まれば受入れは止まります。
  • 特定産業分野は19、育成就労産業分野は17です。自動車運送業と航空は特定技能のみで、育成就労の対象外です。
  • 特定技能の枠はむしろ減りました。令和6年3月設定の82万人から、1万4,300人少ない80万5,700人です。

以下は制度の一般的な解説です。分野ごとの運用や要件は個別に定められていますので、実際の受入れ計画は最新の情報をご確認ください。

分野別運用方針とは何か

外国人材を受け入れる分野は、生産性向上や国内人材の確保に取り組んだうえで、なお人手不足が深刻な分野に限られます。その分野ごとに、受け入れる人数の見込みと必要な技能・日本語の水準を定めたものが分野別運用方針です。

受入れ見込数は5年ごとに示され、人手不足の見込数と比べて過大でないことを示す必要があります。今回は令和6年3月の設定を、さらなる生産性向上と国内人材確保の取組を織り込んで精査し直したものです。

「上限」であることの意味

入管庁は、受入れ見込数を受入れの上限として運用すると明記しています。これは形式的な数字ではありません。実際に外食業分野では、令和8年4月13日から新規の受入れが停止されました。詳しくは特定技能1号の受入れ見込数と分野別の充足率の記事で解説しています。

特定技能と育成就労を合わせた全体像

制度受入れ見込数
特定技能805,700人
育成就労426,200人
合計1,231,900人
出典:出入国在留管理庁「分野別運用方針の主要な記載事項」(令和8年1月23日閣議決定)

育成就労の受入れは令和9年4月の制度開始からです。今すぐ育成就労で受け入れられるわけではありません。

参考として、令和7年6月末時点の在留者数は、1号特定技能外国人が33万3,123人、技能実習生が44万9,432人です。合計で約78万人ですから、123万人という枠にはまだ相応の余地があるという見方もできます。ただし後述のとおり、分野による偏りが大きい点に注意が必要です。

分野別の受入れ見込数(全19分野)

分野ごとの受入れ見込数は次のとおりです。育成就労の欄が「―」の分野は、育成就労の対象外です。

分野特定技能育成就労合計
介護126,90033,800160,700
ビルクリーニング32,2007,30039,500
建設76,000123,500199,500
造船・舶用工業23,40013,50036,900
自動車整備9,4009,90019,300
宿泊14,8005,20020,000
自動車運送業22,10022,100
農業73,30026,30099,600
漁業14,8002,60017,400
外食業50,0005,30055,300
林業9005001,400
木材産業4,5002,2006,700
工業製品製造業199,500119,700319,200
航空4,9004,900
鉄道2,9001,1004,000
飲食料品製造業133,50061,400194,900
リネンサプライ4,3003,4007,700
物流倉庫11,4006,90018,300
資源循環9003,6004,500
合計805,700426,2001,231,900
出典:同上。単位は人。
分野別の受入れ見込数を特定技能と育成就労に分けて示した積み上げ棒グラフ
建設は分野全体の約62%が育成就労です(上位10分野)

育成就労の受入れ見込数が特定技能を上回る分野

全体では育成就労は約35%ですが、分野によって構成は大きく異なります。建設・自動車整備・資源循環の3分野では、育成就労の枠が特定技能を上回っています。

  • 建設:特定技能76,000人に対し育成就労123,500人。分野全体の約62%が育成就労です。
  • 資源循環:特定技能900人に対し育成就労3,600人。新設分野で、育成就労が中心に据えられています。
  • 自動車整備:特定技能9,400人に対し育成就労9,900人。

これらの分野では、育成就労を入口として人材を確保し、特定技能へ移行させるという道筋が想定されていると読めます。逆に自動車運送業と航空は育成就労の対象外で、特定技能のみでの受入れとなります。

新たに追加された分野と業務

新規追加は3分野

今回、リネンサプライ・物流倉庫・資源循環の3分野が新たに加わりました。

既存分野に業務を追加したもの

分野そのものは従来からある一方で、対象となる業務等が追加されたのが工業製品製造業・航空・鉄道です。すでにこれらの分野で受入れをされている企業は、対象業務が広がっていないかご確認ください。

人材の基準(育成就労から特定技能2号まで)

育成就労は、就労開始から段階的に技能と日本語の水準を上げていく仕組みです。

段階日本語能力の目安
育成就労の就労開始時A1相当以上、またはA1相当の講習の受講
育成就労1年経過時A1相当以上(育成就労評価試験・初級)
本人意向による転籍時A2.1相当以上
育成就労終了時・特定技能1号A2.2相当以上
特定技能2号B1相当以上
出典:同上。分野によっては、より高い水準を求める場合があります。

あわせて、育成就労では本人の意向による転籍が認められます。転籍制限期間は1年を目指しつつ、当分の間は分野ごとに1年から2年の範囲で設定されます。技能実習にはなかった仕組みですので、受入れ計画を立てるうえで押さえておく必要があります。

企業が今から備えておきたい3つのこと

1. 自社の分野の構成を確認する

上の表で、自社の分野が特定技能中心か、育成就労中心かを確認してください。建設や資源循環のように育成就労が主軸の分野では、令和9年4月以降の受入れを前提に計画を組む必要があります。

2. 育成就労の準備は前倒しで

育成就労で受け入れるには、育成就労計画の認定が必要です。施行日前の申請受付はすでに始まっています。手続と期限は育成就労計画の認定申請の記事にまとめています。

3. 手続にかかる費用も見込んでおく

受入れ人数の計画とあわせて、費用の見通しも立てておくことをおすすめします。在留許可の手数料は令和8年10月から大きく改定される見込みで、在留期間の更新は最大7万5,000円になります。人数が多いほど影響も大きくなります。

よくある質問

Q. 123万人という枠は、いつまでのものですか。

令和11年3月末までです。受入れ見込数は5年ごとに設定し直されます。

Q. 育成就労はいつから受け入れられますか。

制度開始は令和9年4月です。閣議決定資料にも「令和9年4月(制度開始)からの受入れ」と明記されています。ただし育成就労計画の認定申請は、施行日前から受付が始まっています。

Q. 特定技能の枠が減ったのはなぜですか。

令和6年3月設定の82万人から80万5,700人へ、1万4,300人減りました。生産性向上や国内人材確保の取組をさらに行うよう見直し、精査した結果とされています。分野別に見ると、工業製品製造業のように増えた分野と、宿泊・造船・舶用工業のように減った分野があります。

Q. 自動車運送業や航空で育成就労は使えますか。

使えません。この2分野は特定産業分野のみで、育成就労産業分野には設定されていません。

Q. 枠が埋まったらどうなりますか。

受入れ見込数は上限として運用されるため、原則として新規の受入れができなくなります。実際に外食業分野では令和8年4月13日から新規受入れが停止されました。ただし在留期間の更新や分野内での転職は、通常どおり審査されます。

まとめ

令和8年1月の閣議決定で、特定技能と育成就労を合わせた受入れの枠が123万1,900人と定まりました。育成就労に初めて上限が設けられたことは、制度の性格を考えるうえで大きな変化です。

大切なのは総数よりも自社の分野の内訳です。建設のように育成就労が6割を占める分野もあれば、自動車運送業のように育成就労が使えない分野もあります。全体の数字だけを見て判断すると、計画を誤ります。

枠には上限としての実効性があります。外食業の例が示すとおり、埋まってから動くのでは間に合いません。

外国人材の受入れについてご相談ください

たかやま行政書士事務所では、外国人材の受入れに関する各種手続を承っております。

  • 特定技能の受入れ計画・在留資格の申請
  • 育成就労計画の認定申請
  • 登録支援機関・支援計画に関するご相談
  • 在留期間更新許可申請・在留資格変更許可申請
  • 各種届出の代行

分野ごとの要件や受入れ時期の見通しについて、お気軽にお問い合わせください。

参考にした公的情報

  • 出入国在留管理庁「分野別運用方針の主要な記載事項」(令和8年1月23日閣議決定)
  • 出入国在留管理庁「特定技能の在留資格に係る制度の運用に関する基本方針・分野別運用方針」https://www.moj.go.jp/isa/03_00170.html
  • 出入国在留管理庁「育成就労に係る制度の運用に関する基本方針・分野別運用方針」https://www.moj.go.jp/isa/03_00169.html

※本記事は2026年8月20日時点の公表情報に基づいています。制度の一般的な解説であり、個別案件の判断に代わるものではありません。

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