日本の社会保障協定は、2025年12月1日にオーストリアとの協定が発効し、24か国になりました。協定を結んだ国との間では、両国の年金の加入期間を合わせて、年金を受け取る資格があるかを判断できる場合があります。
日本で働いて年金保険料を払ってきた外国人の方にとって、「母国に帰ったら、日本で払った年金はどうなるのか」は気になるところです。
この記事では、日本で働く外国人の方とご家族、外国人社員を雇用する企業のご担当者に向けて、協定によって何が変わるのかを整理します。
結論:押さえておきたい3つのポイント
- 日本の老齢年金は、海外に住んでいても、請求すれば受け取る仕組みです。ただし、原則として加入期間などが合わせて10年以上必要です。
- 協定を結んだ国の加入期間と通算して10年以上になれば、日本の期間だけでは足りなくても、日本の年金を受け取る資格を得られる場合があります。
- 脱退一時金を受け取ると、それまでの日本の加入期間はなくなり、協定による通算もできなくなります。
※一般的な解説です。実際の扱いは、在留資格・出国する期間・ご家族の状況などによって異なります。
社会保障協定とは
社会保障協定には、主に2つの役割があります。
- 二重加入の防止:一時的に相手国へ派遣される場合などに、どちらか一方の国の制度にだけ加入すればよくなります。
- 加入期間の通算:両国の年金の加入期間を合わせて、年金を受け取る資格があるかを判断します。
ただし、加入期間を通算できない協定もあります。英国・韓国・中国・イタリアとの協定には、加入期間の通算は含まれていません。
24か国目はオーストリア
2025年12月1日に、日本とオーストリアの社会保障協定が発効しました。日本にとって24番目の社会保障協定です。協定を結んでいる国は、次のとおりです。
| 区分 | 国 |
|---|---|
| 加入期間を通算できる(20か国) | ドイツ、アメリカ、ベルギー、フランス、カナダ、オーストラリア、オランダ、チェコ、スペイン、アイルランド、ブラジル、スイス、ハンガリー、インド、ルクセンブルク、フィリピン、スロバキア、フィンランド、スウェーデン、オーストリア |
| 加入期間を通算できない(4か国) | 英国、韓国、中国、イタリア |
この表にない国とは、2026年10月時点で協定が発効していません。(日本年金機構の一覧による)
日本で払った年金を海外で受け取るには
受け取るための加入期間は、原則10年
日本の老齢基礎年金を受け取るには、保険料を納めた期間や免除された期間などを合わせて、原則として10年以上必要です。受け取りが始まる年齢になっても自動では始まらず、請求の手続きが必要です。海外に住んでいる方は、海外の金融機関の口座を受取先にする方法もあります。
協定で加入期間を通算すると

日本の加入期間だけでは10年に届かない場合でも、協定を結んだ国の加入期間と重ならない範囲で合わせて10年以上になれば、日本の年金を受け取る資格を得られることがあります。受け取る日本の年金の額は、日本で加入していた期間に応じたものです。
相手国の年金にも、国ごとに受け取るための条件があります。たとえばオーストリアの老齢年金は、保険期間が180か月(15年)以上必要とされています。
脱退一時金を受け取る前に
日本に住所がなくなった外国人の方は、条件を満たせば「脱退一時金」を請求する制度があります。ただし、脱退一時金を受け取ると、それより前の日本の年金の加入期間はすべてなくなります。協定による通算もできなくなります。
日本の年金として将来受け取るか、脱退一時金として受け取るかは、母国との協定の有無や、これから日本や母国で働く年数によって考え方が変わります。請求の前に、よく確かめておくことが大切です。
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よくある質問
Q.日本で5年働きました。帰国したら、日本の年金は受け取れませんか?
A.日本の期間だけでは10年に届きません。ただし、母国と日本の協定で加入期間を通算できる場合は、受け取る資格を得られることがあります。脱退一時金を受け取ると通算できなくなるため、先に確かめておきましょう。
Q.協定のない国へ帰る場合はどうなりますか?
A.加入期間の通算はできません。日本の期間だけで10年以上あれば、海外に住んでいても日本の年金を請求する対象になります。10年に届かない場合は、脱退一時金も選択肢になります。
Q.外国人社員が退職して帰国します。会社として何かできることはありますか?
A.社員から質問があったときに、母国との協定の有無や、脱退一時金の注意点を伝えられるようにしておくと安心です。年金の手続きそのものは、年金事務所などで確認していただくことになります。
まとめ
社会保障協定は少しずつ増えており、2025年12月のオーストリアで24か国になりました。日本で払った年金をどう受け取るかは、母国との協定の有無や、脱退一時金を選ぶかどうかで変わります。帰国や出国が決まったら、早めに確かめておきましょう。
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出典
- 厚生労働省「日・オーストリア社会保障協定が本年12月1日に発効します」(2025年9月10日)
- 日本年金機構「協定を結んでいる国との協定発効時期および対象となる社会保障制度」
- 日本年金機構「協定相手国別の注意事項(オーストリア)」
- 日本年金機構「海外にお住まいの方の年金の請求」
- 日本年金機構「脱退一時金を請求するにあたって、どのような点に注意すればよいですか。」
※本記事は2026年10月28日時点の公表情報に基づいています。実際の扱いは、在留資格や出国する期間、ご家族の状況などによって異なります。手続きの前に、最新の情報をご確認いただくか、ご相談ください。
