「在留カードの期限が今日までなのに、更新の結果がまだ届きません。明日から出勤させてよいのでしょうか。」外国人を雇用されている企業のご担当者から、実際にいただくご質問です。答えは、入管法が定める特例期間という仕組みを知っているかどうかで変わります。
結論から申し上げます。在留期間の満了の日までに更新または変更の申請をしていれば、期限が過ぎても、これまでどおり在留し、これまでどおり働くことができます。これが、出入国管理及び難民認定法(以下「入管法」)の定める特例期間です。
特例期間の適用には条件があります。まず、在留期限までに更新または変更の申請が受け付けられていることが必要です。ただし、在留期間が30日以下の方は対象外です。また、永住許可申請だけでは特例期間は発生しません。申請の種類や受付状況を誤ると、不法残留などにつながるおそれがあります。この記事は、外国人を雇用している企業のご担当者と、申請中のご本人に向けて、条文と出入国在留管理庁の公表資料をもとに整理しました。
結論:まず押さえておきたい5つのポイント
- 在留期間の満了の日までに更新または変更を申請していれば、処分が出る時まで、または満了の日から2か月を経過する日が終了する時まで、従前の在留資格のまま従前の活動を続けられます
- 根拠は入管法第20条第6項。在留期間の更新については第21条第4項が第20条第6項を準用しています
- 満了の日までに更新・変更の申請が受け付けられていることが必要です。在留期間が30日以下の場合や、永住許可申請だけの場合などは対象外です
- 窓口申請なら在留カード裏面に記載されますが、オンライン申請では押印されません。受付完了メールで確認します
- 2か月は上限です。これを過ぎると、申請中であっても不法残留になります
以下は一般的な解説です。実際の取扱いは個別の事情によって変わりますので、判断に迷われたときは申請先の地方出入国在留管理局、または専門家にご確認ください。
特例期間とは何か
特例期間とは、在留期間の満了の日までに在留期間更新許可申請または在留資格変更許可申請をしたのに、その日までに結果(処分)が出ない場合に、引き続き在留できる期間のことです。
出入国在留管理庁は、この期間について「引き続き従前の在留資格をもって我が国に在留でき、従前の活動を行うことができます」と説明しています。つまり在留資格は従前のまま、仕事もこれまでと同じ内容で続けられるということです。
根拠となる条文は「入管法第20条第6項」
特例期間の根拠は、入管法第20条第6項です。条文は次のとおりです。
第二項の規定による申請があつた場合(三十日以下の在留期間を決定されている者から申請があつた場合を除く。)において、その申請の時に当該外国人が有する在留資格に伴う在留期間の満了の日までにその申請に対する処分がされないときは、当該外国人は、その在留期間の満了後も、当該処分がされる時又は従前の在留期間の満了の日から二月を経過する日が終了する時のいずれか早い時までの間は、引き続き当該在留資格をもつて本邦に在留することができる。
出入国管理及び難民認定法第20条第6項(令和8年6月14日施行の条文)
更新の場合は第21条第4項が第20条第6項を準用する
第20条は「在留資格の変更」の条文です。在留期間の更新については、第21条第4項が「同条第六項の規定は第二項の規定による申請があつた場合について……準用する」と定めています。
つまり変更は第20条第6項そのもの、更新は第21条第4項を通じて第20条第6項という二段構えです。罰則の条文(第70条第1項第5号)も「第二十条第六項(第二十一条第四項において準用する場合を含む。)」と書いており、この構造が確認できます。
いつまで働けるのか
特例期間の終わりは「いずれか早い時」で決まります。
| 状況 | いつまで在留・就労できるか |
|---|---|
| 更新・変更が許可された | 許可の時まで(以後は新しい在留期間・在留資格) |
| 不許可などの処分がされた | 処分がされた時まで |
| 処分がまだ出ていない | 従前の在留期間の満了の日から2か月を経過する日が終了する時まで |
注意していただきたいのは、2か月は上限であって、必ず2か月あるという意味ではないことです。処分が先に出れば、その時点で特例期間は終わります。
具体例:在留期限が8月15日の場合
例えば、在留期限が2026年8月15日だとします。この日までに更新または変更の申請が受け付けられていることが前提です。そのうえで審査が続く場合、特例期間の上限は2026年10月15日が終了する時までです。つまり、8月16日から10月15日まで在留できます。仕事も、従前の在留資格の範囲内で継続できます。
ただし、9月20日に処分が出た場合は、その時点で特例期間が終わります。また、「2か月」は暦で数えます。単純に「60日」と決めつけないでください。月末に在留期限がある場合は、最終日の判断に迷うことがあります。そのときは申請先の出入国在留管理局へ確認してください。

特例期間が認められる方・認められない方
認められる場合
- 在留期間更新許可申請を、在留期間の満了の日までに行った場合
- 在留資格変更許可申請を、在留期間の満了の日までに行った場合
認められない場合(ここが落とし穴です)
- 満了の日を過ぎてから申請した場合。申請したという事実があっても、特例期間は発生しません
- 在留期間が30日以下の方。第20条第6項のかっこ書きで明確に除かれています
- 在留資格取得の申請(入管法第22条の2)。同条第3項が準用しているのは第20条第3項本文・第4項・第5項だけで、第6項は含まれていません
- 永住許可申請だけをしている場合。第20条第6項が対象にしているのは第20条第2項の申請で、永住許可申請は第22条第1項に基づく別の申請です
永住許可申請をしているだけでは、現在の在留期間は延長されません。例えば、「日本人の配偶者等」の方が永住申請中だとします。ただし、在留期限までに永住の結果が出るとは限りません。その場合は、今の在留資格について在留期間更新許可申請を別途行う必要があります。「技術・人文知識・国際業務」などでも同様です。
そのため、永住申請と更新申請の受付状況は別々に確認してください。「永住申請中だから期限を過ぎても大丈夫」と考えるのは危険です。在留期限が近づいたら早めにご相談ください。
在留カードの表面だけで判断しない
窓口で申請した場合
在留カード裏面の「在留期間更新等許可申請欄」に、申請中であることが記載されます。出入国在留管理庁も「在留カード表面に記載の在留期間が経過している場合は、在留カード裏面も確認してください」と案内しています。
オンラインで申請した場合
オンライン申請では、在留カードの裏面に「申請中」の印が押されません。出入国在留管理庁は、申請中(特例期間を含む)であることを証明するものとして、申請受付番号等が記載された受付完了メールを常に携行するよう求めています。このメールは申請受付完了の翌日に送信されます。
企業側の在留カード確認では、表面の期限が過ぎているというだけで「不法就労」と判断しないでください。裏面の記載、またはオンライン申請の受付完了メールを確認します。在留カード番号の有効性そのものは、出入国在留管理庁の「在留カード等番号失効情報照会」でも確かめられます。
特例期間中に気をつけること
出国はできる。ただし戻る期限がある
出入国在留管理庁の「出入国審査・在留審査Q&A」(Q61)は、更新・変更の申請中でも、再入国許可またはみなし再入国許可による出国は可能としています。ただし、戻る期限があります。
- 再入国許可を受けて出国した場合……再入国許可の期限までに再入国する
- みなし再入国許可で出国した場合……従前の在留期間の満了の日から2か月を経過する日、または出国の日から1年のいずれか早い日までに再入国する
そのうえで同Q&Aは、再入国後、2か月を経過する前に必ず申請先の出入国在留管理局で結果を受け取るよう求め、2か月を経過してしまうと、申請を行っていても不法残留になると注意しています。海外出張や一時帰国を予定される場合は、この日付から逆算してください。
資格外活動許可の扱いは申請先に確認する
「留学」や「家族滞在」の方がアルバイトをするには、資格外活動許可が必要です。特例期間中にこの許可がどのように扱われるかについては、出入国在留管理庁の公表資料に明確な記載を確認できませんでした。資格外活動許可書や在留カード裏面の記載を確認したうえで、申請先の地方出入国在留管理局にお尋ねください。推測で就労を続けさせないことが大切です。
2か月を過ぎるとどうなるか
特例期間が終わってもなお在留を続けると、不法残留になります。
- 退去強制事由(入管法第24条第4号ロ)。条文は、在留期間に「第20条第6項の規定により本邦に在留することができる期間を含む」と定めています
- 罰則(入管法第70条第1項第5号)。3年以下の拘禁刑もしくは300万円以下の罰金、またはこれを併科
企業側も無関係ではありません。外国人に不法就労活動をさせた場合の不法就労助長罪(入管法第73条の2)は、現在3年以下の拘禁刑もしくは300万円以下の罰金、またはこれを併科です。なお、この罰則は令和9年(2027年)4月1日施行の改正で、5年以下の拘禁刑もしくは500万円以下の罰金に引き上げられます(2026年8月22日時点では未施行です)。
特定技能1号の通算5年と特例期間の関係
特定技能1号の方は、在留カードの満了日だけを見ればよいわけではありません。まず、通算在留期間の上限である原則5年も確認します。さらに、更新・変更申請中の特例期間も通算在留期間に含まれます。これは出入国在留管理庁の運用要領で示されています。
つまり、特例期間の上限は最長2か月です。しかし、それだけ長く必ず働けるわけではありません。通算5年の上限が自動的に2か月延びる制度ではないからです。また、失業期間が通算期間に含まれる場合があります。一定の移行準備のための「特定活動」も含まれることがあります。そのため、過去の在留資格や許可日も確認してください。
受入れ企業や登録支援機関は、まず現在の在留期限と申請受付日を確認します。次に、特例期間の上限日を記録します。さらに、特定技能1号の通算5年到達見込みも別に管理してください。必要に応じて、特定技能2号などへの移行準備も進めます。ただし、通算期間の判断は個別事情によって異なります。迷う場合は、入管または行政書士へ早めにご相談ください。
企業が今から備えておきたい3つのこと
1. 満了の3か月前から動く
出入国在留管理庁のQ&Aによると、在留期間の更新許可申請はおおむね3か月前から可能です(在留期間が3か月以内の方は、その在留期間のおおむね2分の1以上が経過したときから)。特例期間は「間に合わなかったときの受け皿」であって、はじめから当てにするものではありません。
2. 在留カードは表と裏をセットで見る
確認の記録を残すときは、表面の写しだけでなく、裏面の「在留期間更新等許可申請欄」まで、オンライン申請であれば受付完了メールの写しまでそろえます。監査や調査で問われるのは、確認したという事実ではなく、何をどう確認したかです。
3. 「満了日から2か月」をもう一つの期限として管理する
管理表に入れるべき日付は、在留期限だけではありません。まず、申請受付日と受付番号を記録します。次に、特例期間の上限日を記録します。また、結果通知の有無も確認してください。特定技能1号の場合は、通算5年の到達見込みも別に管理します。
申請の準備の進め方や必要書類については、ご依頼から申請までの流れをご覧ください。
よくある質問
在留カードの表面の期限が切れています。働かせても大丈夫ですか。
在留期間の満了の日までに更新または変更を申請しているのであれば、特例期間として従前の活動を続けられます。まず在留カードの裏面、オンライン申請であれば受付完了メールで、申請中であることをご確認ください。申請していない場合は不法残留ですので、就労を続けさせることはできません。
満了の日の翌日に更新申請をしました。特例期間になりますか。
なりません。特例期間は「満了の日までに申請があった場合」の制度です。満了の日を過ぎた時点で不法残留となります。放置すると事態が重くなりますので、至急、地方出入国在留管理局または専門家にご相談ください。
特例期間中に転職できますか。
特例期間中も在留資格は従前のままですので、転職先での仕事がその在留資格で認められる活動の範囲内かどうかが前提になります。また、契約機関や所属機関に変更があった場合は14日以内の届出が必要です。審査中の転職は結果に影響することがありますので、動かれる前にご相談ください。
特例期間中に海外出張へ行けますか。
再入国許可またはみなし再入国許可による出国は可能です。ただし、みなし再入国許可の場合は、従前の在留期間の満了の日から2か月を経過する日、または出国の日から1年のいずれか早い日までに再入国し、2か月を経過する前に申請先で結果を受け取る必要があります。
2か月を過ぎても結果が出ないときはどうなりますか。
条文上、特例期間は満了の日から2か月を経過する日が終了する時までです。それまでに処分が出ない場合の取扱いは個別の事情によりますので、期限が近づいたら放置せず、必ず申請先の出入国在留管理局にお問い合わせください。
特定技能1号の特例期間は通算5年に含まれますか。
含まれます。入管庁の運用要領では、変更・更新申請中の特例期間も通算期間に含まれます。したがって、5年の上限が一律に2か月延びるわけではありません。また、過去の在留資格や特定活動の期間も確認します。具体的な計算は個別に判断してください。
永住申請中なら在留期間の更新は不要ですか。
不要にはなりません。永住許可申請だけでは特例期間は発生しません。そのため、現在の在留期限も延長されません。結果が期限までに出ない場合は、今の在留資格の更新申請を別に行ってください。
まとめ
在留期限が過ぎていても、満了の日までに更新または変更を申請していれば、処分が出る時まで、または満了の日から2か月を経過する日が終了する時のいずれか早い時まで、従前の在留資格で従前の活動を続けられます。根拠は入管法第20条第6項、更新の場合は第21条第4項がこれを準用しています。
特例期間の適用には、期限までに更新・変更申請が受け付けられていることが必要です。ただし、在留期間が30日以下の場合などは対象外です。また、永住申請だけでは特例期間になりません。特定技能1号の方は、特例期間と通算5年の上限を別々に管理してください。在留カードの裏面や受付完了メールを確認することが、本人と企業の双方を守ります。
在留期間の更新・変更についてご相談ください
たかやま行政書士事務所は、大阪を拠点に外国人の在留資格申請を専門に扱う行政書士事務所です。次のようなご相談を承っています。
- 在留期間更新許可申請・在留資格変更許可申請の書類作成と申請取次
- 特定技能をはじめとする就労資格の受入れ手続と、受入れ後の各種届出
- 在留期限・特例期間・特定技能1号の通算5年の管理体制づくり、在留カード確認の手順づくり
- 申請が期限に間に合わなかった場合のご相談
在留期限が迫っている、申請したが結果が来ない、在留カードの見方が分からない。どれも早いほど選べる手が多くなります。ビザ申請に関するお問い合わせ・ご相談はこちらからお気軽にご連絡ください。
参考にした公的情報
- 出入国在留管理庁「特例期間とは?」https://www.moj.go.jp/isa/applications/procedures/tokureikikan_00001.html
- 出入国在留管理庁「【お知らせ】オンライン申請を行った場合に申請中(特例期間を含む)であることを証明することについて」https://www.moj.go.jp/isa/applications/online/11_00035.html
- 出入国在留管理庁「通算在留期間」https://www.moj.go.jp/isa/10_00233.html
- 出入国在留管理庁「特定技能外国人受入れに関する運用要領」https://www.moj.go.jp/isa/content/001468647.pdf
- 出入国在留管理庁「出入国審査・在留審査Q&A」https://www.moj.go.jp/isa/immigration/faq/kanri_qa.html
- e-Gov法令検索「出入国管理及び難民認定法」(令和8年6月14日施行の条文)https://laws.e-gov.go.jp/law/326CO0000000319
※本記事は2026年8月22日時点の法令および公表情報に基づいています。制度は改正されることがあり、実際の取扱いは個別の事情によって異なります。本記事は一般的な情報提供であり、個別案件の判断に代わるものではありません。
