2027年開始「育成就労」制度をやさしく解説

2027年4月スタート「育成就労制度」をわかりやすく解説|技能実習制度との違い・メリット・注意点

2027年4月1日から、日本で新しく導入される「育成就労制度」。
これは、これまでの技能実習制度に代わる新しい外国人就労の在留資格制度で、日本の人手不足分野における人材育成と定着を目的としています。

この記事では、制度のポイント、技能実習との違い、企業・外国人それぞれのメリットをわかりやすく解説します。


目次

育成就労制度とは?(基本のポイント)

育成就労制度とは、日本の人手不足分野において、外国人が働きながら技能習得日本語能力向上を目指す制度です。

従来の技能実習制度が「国際貢献」を掲げていたのに対し、育成就労制度は 人材育成と人材確保を目的にした現実的な制度 になっています。

● 育成就労の主なポイント

  • 最大3年間の在留が可能(育成就労の期間)
  • 一定要件を満たすと 特定技能1号へ移行が可能
  • さらに経験を積めば、分野によっては 特定技能2号も目指せる
  • 就労前から 日本語能力A1(JLPT N5相当) が必要
  • 最初の1年以内に A2(N4相当)へステップアップ が求められる
  • 一定期間働けば、本人の希望による転籍(転職)も可能
  • 監理団体に代わり、監理支援機関が支援を担当

育成就労制度はいつから始まる?技能実習はどうなる?

育成就労制度は 2027年4月1日から施行 されます。

ただし、2027年以降もしばらくは技能実習制度と並行して運用される「移行期間」が設けられる予定です。
すでに技能実習で在留している外国人については、一定条件のもとで技能実習を続けられる経過措置も予定されています。


育成就労制度と技能実習制度の違い(比較表)

項目育成就労制度技能実習制度
制度目的人材育成・人材確保国際貢献(技能移転)
在留期間最大3年最大5年
日本語要件就労前A1 → 1年以内にA2明確な要件なし
転籍(転職)一定期間勤務後に可能原則不可
受け入れ体制監理支援機関監理団体
キャリアパス特定技能1号→2号へ移行が現実的特定技能への移行は限定的
賃金日本人と同等以上を義務化同等以上の原則はあるが運用に差

技能実習制度の課題(転籍制限、低い日本語能力、構造的トラブルなど)を改善するため、
育成就労制度は より透明性の高い制度 を目指しています。


外国人にとってのメリット

● キャリアアップが明確

育成就労 → 特定技能1号 → 特定技能2号 とステップアップできる仕組み が最初から整備されています。

● 日本語能力が上がりやすい

日本語要件が制度に組み込まれているため、企業と本人どちらも「日本語の成長」を意識しやすい環境になります。

受け入れ企業にとってのメリット

● 日本語レベルの高い人材を採用できる

初期段階で日本語力A1(N5相当)が必要なため、
コミュニケーションが取りやすい傾向があります。

● 中長期の人材確保がしやすい

育成就労(3年)
→ 特定技能1号(最長5年)
→ 分野によっては特定技能2号(長期就労も可)と、長く働ける制度になっています。

● 教育・育成を前提とした制度

企業が計画的に教育しやすく、
定着率向上 につながると言われています。


受け入れ企業が注意すべきポイント

  • 転籍可能な制度のため、
     職場環境が悪いと辞められやすい
  • 日本語教育や育成計画を作る必要があり、
     準備不足の企業は認定されない可能性
  • 賃金・労働条件は日本人と同等以上
     → 安い労働力として使うことは不可

育成就労制度のキャリアパス

  1. 母国で日本語・技能の基礎を学ぶ
  2. 育成就労として日本で働きながらスキルを向上
  3. 試験に合格すれば特定技能1号へ移行
  4. 分野により特定技能2号で長期定着も可能

「日本で働きながらキャリアアップできる制度」が特徴です。


当事務所のサポート内容

たかやま行政書士事務所では、育成就労制度に関する以下のサポートを行っています。

  • 受け入れ企業向け制度説明
  • 必要書類・受け入れ体制の整備サポート
  • 育成就労から特定技能につなげるキャリア設計
  • 各種在留資格申請の書類作成・申請取次
  • 現在技能実習生を受け入れている企業の制度移行相談

「うちの会社は育成就労で受け入れできる?」
「技能実習から切り替える場合はどうしたらいい?」

など、個別状況に応じて丁寧にご案内しています。


育成就労制度は「人材育成」と「人材確保」を両立する新しい制度

育成就労制度は、日本の人手不足分野において
外国人が働きながらステップアップし、企業は長期的な人材確保ができる制度
として期待されています。

技能実習制度の課題を改善し、
より透明で働きやすい制度へ移行していく重要な転換点です。

最新情報を踏まえつつ、企業側の準備も早めに進めることが大切です。

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