ベトナムでは2026年9月11日からアポスティーユ条約が発効しました。日本で発行された条約対象の公文書をベトナムへ提出する場合、日本の外務省によるアポスティーユがあれば、原則として追加の領事認証は不要です。
ただし、書類の翻訳や提出先での審査は別です。ベトナム人との結婚でも、すべての書類手続がなくなるわけではありません。この記事では、変わった点と引き続き確認が必要な点を整理します。
最終確認日:2026年9月16日
ベトナムのハーグ条約とは?公文書の認証を簡素化する制度
今回の条約は、1961年の「外国公文書の認証を不要とする条約」です。子の連れ去りに関するハーグ条約とは別の制度です。
アポスティーユは、公文書の署名・印章などの真正性を確認する証明です。書類に書かれた内容の正しさや、婚姻・ビザ申請の許可を保証するものではありません。
発効日はハーグ国際私法会議(HCCH)の公表と日本の外務省のお知らせで確認できます。制度の説明は外務省の証明に関するFAQをご覧ください。
2026年9月11日から何が変わった?
| 確認すること | 2026年9月11日以降の扱い |
|---|---|
| 日本の対象公文書をベトナムへ提出 | 日本でアポスティーユを取得すれば、原則として追加の領事認証は不要 |
| ベトナム語以外で作られた書類 | ベトナム法に沿った翻訳・公証または認証の準備が必要 |
| 大使館・領事館が作成した証明書 | 条約対象外。国内発行の公文書と同じ扱いにはしない |
| 書類の有効期限・必要な記載事項 | 提出先の条件を引き続き確認する |
駐日ベトナム大使館は、対象となる日本の公文書について、2026年9月11日以降、従来の領事認証を受け付けないと案内しています。条約対象外の文書には別の認証手続が残ります。出典:駐日ベトナム大使館の2026年9月9日付通知(英語)。
翻訳とアポスティーユはどちらが先?
翻訳を添えて日本で公証・アポスティーユを取得する場合は、翻訳の準備が先です。一方、公文書の原本にアポスティーユを付け、その後に提出先の指定に沿う翻訳を用意する方法もあります。
この2つは認証する対象が違います。どちらでも自由に代用できるわけではないため、まず提出先に、原本の認証が必要か、翻訳を含む書類の認証が必要かを確認してください。

公文書の原本にアポスティーユを付ける場合
対象となる公文書の原本を取得し、原本に対するアポスティーユを取得します。ベトナムへ提出する際は、提出先の指定に沿ったベトナム語訳と、その公証・認証を別に準備します。アポスティーユ部分まで翻訳する必要があるかも確認しましょう。
翻訳を添えて日本で公証・アポスティーユを受ける場合
- 提出先と公証役場に、必要な原文・翻訳文・宣言書等の構成を確認する。
- 翻訳文と必要な書類一式を準備する。
- 公証人の認証と、所属する(地方)法務局長による公証人押印証明を受ける。
- アポスティーユを取得し、提出先の要件に合う一式を提出する。
外務省は、公文書等に翻訳を添付した場合は私文書として扱うと案内しています。翻訳を付ければそのまま外務省で原本と同じ認証を受けられる、という意味ではありません。出典:外務省「申請前のチェックシート」。
公証人認証からアポスティーユまでをまとめて受けられるワンストップサービスもあります。対象の公証役場と手順は、外務省「申請の流れ」で確認できます。原本そのものの認証も別に必要かは、提出先へ確認してください。
原本を外務省へ申請するときの基本事項
外務省の基本要件は、発行日から3か月以内で、発行機関と公印を確認できる公文書の原本です。書類によって例外や扱いが異なります。取得前に証明できる書類を確認してください。
郵送申請では、対象書類、申請書、返送用封筒などを用意します。代理申請には委任状も必要です。外務省の証明手数料は無料ですが、書類の取得・郵送・翻訳・公証などの費用は別にかかります。出典:外務省の申請方法・必要書類。
結婚書類は「どこで発行されたか」で確認する
| 書類の例 | 手続前の確認 |
|---|---|
| 日本国内で発行された戸籍証明書・婚姻要件具備証明書 | 外務省で証明できる形式か、ベトナムの提出先が求める記載を満たすか |
| 日本の大使館・総領事館が発行した婚姻要件具備証明書 | 外交官・領事官が作成する文書は条約対象外。発行公館と提出先へ認証方法を確認 |
| 健康診断書・学校の証明書・翻訳文 | 発行主体や文書の性質により、公証などの前段階が必要か確認 |
| ベトナムで発行された書類を日本へ提出 | まず日本の提出先にアポスティーユの要否を確認。必要な場合はベトナムの権限ある機関へ申請 |
外交官・領事官が作成した文書の除外は、条約第1条に定められています。同じ「婚姻要件具備証明書」という名前でも、発行元によって手順が異なる点が大切です。
また、ベトナムの公文書にアポスティーユが付けられるようになったことと、日本のすべての提出先がそれを要求することは別です。不要な手続を増やさないよう、先に提出先へ確認しましょう。
婚姻そのものの進め方は、ベトナム人との結婚手続|日本・ベトナムでの届出と必要書類で解説しています。
国際結婚全体の流れを先に確認したい方は、国際結婚の手続|婚姻届から配偶者ビザまでをご覧ください。
よくある質問
アポスティーユがあれば、翻訳はいりませんか?
翻訳は別に必要です。日本語の証明書をベトナムで使う場合は、ベトナム語訳に加え、現地法に沿った翻訳の公証・認証が必要になります。原本と訳文をどのようにそろえるか、提出先へ確認してください。
以前に領事認証を取った書類は取り直しですか?
駐日ベトナム大使館の通知では、2026年9月11日より前に領事認証を受けた書類について、アポスティーユへのやり直しは不要とされています。ただし、書類自体の提出期限や記載内容の条件は別に確認してください。
アポスティーユで結婚や配偶者ビザも認められますか?
認められるとは限りません。アポスティーユは書類の出所に関する証明です。婚姻の成立要件や、日本で暮らすための在留資格は、それぞれの制度で審査されます。
ベトナム人との結婚・日本での在留についてのご相談
「国内発行と大使館発行のどちらの書類を使うか」「結婚後に日本で暮らすために何をそろえるか」が分からない場合は、手続の順序を整理してから準備を始めましょう。
たかやま行政書士事務所では、お二人の現在地、婚姻の予定・届出状況、日本での在留資格を確認し、必要な手続の整理をご相談いただけます。お問い合わせ時は、提出先の国・機関、書類名、予定時期をお知らせください。
書類の認証や翻訳の順序、結婚後の日本での在留手続が分からない方は、お気軽に初回無料相談をご利用ください。提出予定の国・機関、書類名、希望時期を伺い、確認すべきことを整理します。
本記事は確認日時点の一般的な情報です。個別の書類の受理条件は、実際の提出先と発行機関へご確認ください。
