住宅宿泊事業(いわゆる民泊新法による民泊)は、住宅宿泊事業法に基づき、都道府県知事等への届出によって行う宿泊事業です。
ただし、すべての建物で営業できるわけではありません。住宅の設備・居住要件、年間営業日数、管理方法、消防・安全対策、自治体条例などを事前に確認する必要があります。
この記事では、2026年8月時点の公的情報に基づき、住宅宿泊事業の要件と届出後の義務を分かりやすく解説します。
住宅宿泊事業とは
住宅宿泊事業は、旅館業法上の許可を受けた営業者以外の方が、宿泊料を受けて住宅に人を宿泊させる事業です。人を宿泊させる日数は、1年間で180日を超えることができません。
180日は「泊数」ではなく、正午から翌日の正午までを1日として算定します。また、自治体の条例により、区域や期間がさらに制限される場合があります。

対象となる「住宅」の要件
必要な設備
届出住宅には、次の4つの設備が必要です。設備は同じ建物内にすべて設置されていればよく、必ずしも独立している必要はありません。
- 台所
- 浴室
- 便所
- 洗面設備
居住要件
さらに、次のいずれかに該当する家屋であることが必要です。
- 現に人の生活の本拠として使用されている家屋
- 入居者の募集が行われている家屋
- 随時、所有者・賃借人・転借人の居住の用に供されている家屋
宿泊事業専用の施設で、居住の実態や居住目的がない建物は、住宅宿泊事業法上の「住宅」に該当しない可能性があります。
住宅宿泊管理業者への委託が必要な場合
住宅宿泊事業者は、次のいずれかに該当する場合、原則として住宅宿泊管理業務を登録済みの住宅宿泊管理業者へ委託しなければなりません。
- 一つの届出住宅の居室数が5を超える場合
- 宿泊者を泊めている間、住宅宿泊事業者が不在となる場合
「5を超える」とは6室以上です。旧記事にあった「5室以上」という説明は正確ではありません。また、不在には、日常生活上の通常の行為に必要な範囲の一時的な不在を除く取扱いがあります。
届出前に確認する主な事項
- 賃貸借契約・転貸承諾
賃借人や転借人が事業を行う場合は、賃貸人・転貸人から住宅宿泊事業を目的とする転貸の承諾を得ているか確認します。 - マンション管理規約
区分所有建物では、管理規約で住宅宿泊事業が禁止されていないか確認します。規約に定めがない場合も、管理組合に禁止の方針がないことを確認します。 - 消防法令と安全措置
管轄消防署へ事前相談し、消防用設備や防火管理上の対応を確認します。消防法令適合通知書の取扱いは自治体の案内も確認してください。 - 自治体条例
学校周辺や住居専用地域などで営業期間を制限する条例があります。所在地を管轄する自治体の最新ルールを必ず確認します。
民泊制度の選択や物件ごとの確認事項については、当事務所の関連記事「民泊の申請」もご覧ください。
届出後に必要な主な対応
- 宿泊者1人当たり3.3平方メートル以上の居室面積を確保し、清掃・換気を行う
- 非常用照明、避難経路の表示など必要な安全措置を講じる
- 外国人宿泊者へ、設備の使用方法、交通手段、災害時の連絡先を外国語で案内する
- 本人確認を行い、宿泊者名簿を作成して3年間保存する
- 騒音、ごみ、火災防止について宿泊者へ説明する
- 近隣住民からの苦情や問い合わせへ適切かつ迅速に対応する
- 届出住宅ごとに、見やすい場所へ所定の標識を掲示する
- 偶数月の15日までに、直前2か月分の宿泊日数・宿泊者数などを定期報告する
予約サイトなどを通じた契約の代理・媒介を他者へ委託する場合は、登録を受けた住宅宿泊仲介業者または旅行業者を利用します。
届出の方法と主な添付書類
届出は、原則として民泊制度運営システムを利用し、住宅の所在地を管轄する都道府県知事等へ行います。法人・個人、所有・賃貸、住宅の居住要件などにより必要書類は異なります。
一般に、住宅の登記事項証明書、図面、居住要件を示す資料、賃貸人の承諾書、マンション管理規約関係の資料、欠格事由に該当しないことを示す書類などを準備します。
最新の様式と手続きは、観光庁の「住宅宿泊事業者の届出に必要な情報、手続きについて」で確認できます。
まとめ
住宅宿泊事業は届出制ですが、届出だけで準備が終わるわけではありません。物件が住宅要件を満たすか、管理委託が必要か、消防・安全措置や自治体条例に対応できるかを順番に確認することが重要です。
物件や運営方法によって必要な対応は変わります。インターネット上の一般情報だけで判断せず、所在地を管轄する自治体・消防署へ事前に確認してください。
住宅宿泊事業の届出でお困りの方へ
住宅宿泊事業の届出や必要書類の確認は、専門家であるたかやま行政書士事務所へご相談ください。物件の所在地、建物の種類、所有・賃貸の別、想定する運営方法を整理したうえでご相談ください。
なお、本記事は2026年8月時点の一般的な制度説明です。個別案件の届出可否を保証するものではありません。
民泊の届出や準備する書類についてお困りの方は、当事務所へご相談ください。
