使っていない建物を宿泊施設にできるのか?
昨今、インバウンドが戻りつつあり日本の観光地では、かつての賑わいが戻ってきました。今月から中国の団体旅行も解禁となり、ホテルや旅館は料金はうなぎのぼり、さらに比較的繁華街に近い立地のところでは客室の稼働率は8割を超えて回転しているようで、いよいよ宿泊施設が足らない状態です。
そこで、国の施策である「国家戦略特別区域外国人滞在施設経営事業」いわゆる「民泊」の登場です。
しかし、民泊と聞きはじめて久しいですが、いまだにホテルや旅館とどう違うのか? やり始めたいが何からしたら良いのか分からないので、簡単に説明いたします。
そもそも宿泊させるためには、許可はいるの?
人を宿泊させて宿泊料を徴収するのには、旅館業法に基づく許可を取得する、特区民泊の認定を取得する、若しくは住宅宿泊事業法の届出を行う必要があります。これらの手続きをせずに営業を行った場合は、旅館業法違反となり、罰則も規定されています。では、宿泊事業を行う場合は、次のいずれかの制度による手続きを行う必要があります。
- 旅館業の許可をとる
- 国家戦略特別区域外国人滞在施設経営事業(特区民泊)の許可をとる
- 住宅宿泊事業の届出をする
国家戦略特別区域外国人滞在施設経営事業(特区民泊)とは?
国家戦略特別区域法に基づく旅館業法の特例、いわゆる「特区民泊(国家戦略特別区域外国人滞在施設経営事業)」とは、国が指定した国家戦略特別区域(以下「特区」という。)において、平成26年に大阪市域全域が特区となりました。特区では、事業の一つに「外国人滞在施設経営事業」があり、要件にあてはまるものは、大阪市長が認定することにより、旅館業法の特例で宿泊施設として活用できるものです。東京都大田区をはじめとして、大阪市、福岡県北九州市など国家戦略特区の区域として指定された地域で取り組まれています。
対象となる建物(家屋)
(1)現に人の生活の本拠として使用されている家屋
「現に人の生活の本拠として使用されている家屋」とは、現に特定の者の生活が継続して営まれている家屋です。マンションでも一戸建てでも構いませんし、持ち家(マンション)でも賃貸でもOKです。
(2)入居者の募集が行われている家屋
「入居者の募集が行われている家屋」とは、住宅宿泊事業を行っている間、あくまで空き家を利用した一時的なものであるという考えから、売却又は賃貸の形態で入居者の募集が行われている家屋であると広告されている証拠が必要です。ただし、広告において故意に不利な取引条件を事実に反して記載している等、入居者募集の意図がないことが明らかである場合は、「入居者の募集が行われている家屋」とは認められません。
(3)随時その所有者、賃借人又は転借人の居住の用に供されている家屋
「随時その所有者、賃借人又は転借人の居住の用に供されている家屋」とは、生活の本拠としては使用されていないものの、その所有者等により随時居住利用されている家屋です。空き家を利用した施策であり、はじめから民泊をするために用意された家屋は対象となりません。居住といえる使用履歴が一切ない民泊専用の新築投資用マンションは、これには該当しません。
(随時居住の用に供されている家屋の具体例)
- 別荘等季節に応じて年数回程度利用している家屋
- 休日のみ生活しているセカンドハウス
- 転勤により一時的に生活の本拠を移しているものの、将来的に再度居住するために所有している空き家
- 相続により所有しているが、現在は常時居住しておらず、将来的に居住することを予定している空き家
- 生活の本拠ではないが、別宅として使用している古民家
具体的な申請の流れを見ていきましょう
事業をおこなって出たゴミは、市民が払って回収している「普通ごみ」「不燃物ゴミ」には出すことは出来ません。必ず、市指定の産業廃棄物業者と契約して回収してもらう必要があります。
民泊にしようとしている建物が消防法に適しているか、また設備が整っているのか、立ち合い立ち合い検査をしてもらいます。
民泊を申請するのに近隣の方への事業の説明を行います。
環境局、消防署での許可書を添付書類として、申請します。許可が出れば民泊として経営が出来ます。
Step1 環境局での手続き
あらかじめ市町村の環境局へ民泊から出たごみを処理する方法を報告しなければなりません。環境局で内容を確認してもらうと確認印を押してもらえます。これが後の保健所への申請時の添付書類となります。市民が出したゴミは市民税など税金で賄われていますので、タダ(税金で)で回収してくれますが、民泊に泊まった人は、外国人や日本人でもその地域の人ではないので、税金でゴミを回収するわけにはいきません。そこで産業廃棄物業者に回収してもらいます。指定産業廃棄物業者かどうかを環境局にて確認してもらう必要があります。
指定の用紙にどうしてゴミを回収するのか作成します。また、配置図や写真なども添付します。
- 廃棄物の処理に関する報告
- 廃棄物保管場所の図面又は写真 (注1)
- 国家戦略特別区域外国人滞在施設経営事業特定認定申請書(様式1) (注2)
- 廃棄物の処理方法 (注3)
(注1) 廃棄物保管場所の図面又は写真では、廃棄物の保管場所が敷地内に設定されているか場所の確認をしております。そのため、ごみ箱や保管場所の写真のアップでは受付出来かねますのでご注意ください。
(注2) 保健所へ提出する書類です。「廃棄物の処理に関する報告」にあります事業者住所、氏名、施設の名称、施設の所在地を確認しております。内容確認後、返却させていただきます。
(注3) 保健所へ提出する書類です。「廃棄物の処理に関する報告」と記載内容の確認をしております。内容確認後、返却させていただきます。
廃棄物の処理に関する報告
廃棄物の処理方法
あらかじめ環境局へ民泊をしたい旨を伝えて予約します。指定の日時に作成した書類を提出します。内容に間違いがないか確認後、環境局届出証明書がもらえます。
申請書類
- 廃棄物の処理に関する報告(DOCX形式, 25.10KB)
- 廃棄物の処理に関する報告(PDF形式, 162.06KB)
- 【記入例】 廃棄物の処理に関する報告(PDF形式, 368.70KB)
- 廃棄物保管場所の図面又は写真 (注1)
- 国家戦略特別区域外国人滞在施設経営事業特定認定申請書(様式1)
- 廃棄物の処理方法
上記の書類を作成してから、環境局へ予め予約して伺います。今回は大阪での手続きにてご説明致します。
大阪市環境局事業部一般廃棄物指導課(大阪市阿倍野区阿倍野筋1-5-1(あべのルシアス13階) 06-6630-3271
step2 消防署での手続き
消防署での手続きも最終は保健所へ申請のための添付書類として消防署の「消防法令適合通知書」が必要となります。「消防法令適合通知書」は、当該施設を管轄する消防署長あてに交付申請を行い、施設が消防法令に適合していることが確認された後に交付されます。
管轄の消防署へ事前に相談にいき、消火設備などの相談を行います。
可能な限り、予定地、建物全体の図面、施設の詳細図面等、
施設の具体的な内容をご準備ください。(具体的な面積や構造等が分からない場合、必要
となる消防用設備等について判断できない場合があります。)
相談した内容の設備等を必要あるなら設備業者にて工事等を済ませ申請します。
交付申請は次の書類を添付して申請してください。
・特定認定の申請書の写し(これから申請しようとするものの写し)
・当該認定にかかる部分の建築図面の写し
・付近見取図
・施設が存する階の平面図、消防用設備等、火気使用設備等配置図
・建物の延べ面積を確認できる資料(建築図面、登記事項証明書等)
・その他(施設・建物の状況により必要になる場合があります)
提出時にチェックをして頂けますが、書類上の審査が行われます。
消防署職員が消防法令適合チェックシートに基づき、審査及び検査を行います。
審査及び検査をスムーズに行うため、申請又は検査に先立ち、施設の消防法令適合状況をチェックシートを参考に、事前に確認してください。防火管理体制については建物所有者や管理組合等に確認が必要となる場合があります。
内容に不備がなければ1週間ほどで結果が出ます。
消防署での手続きは完了です。続いては最終の保健所にて申請をしていきます。
消防署にて発行された消防法令適合通知書を保健所へ添付致します。
必要書類
- 消防法令適合通知書交付申請書 ※1
- 関係行政機関に提出する予定の申請書または届出書の写し
- 当該届出にかかる部分の建築図面の写し
- 付近見取図(インターネットのマップを印刷していただいて結構です。)
- 施設が存する階の平面図、消防設備等、火気使用設備等配置図 ※3
- 建物の延べ面積を確認できる資料(建築図面、登記事項証明書等)
- その他(施設、建物の状況により必要になる場合があります。)
消防法関係について
大阪市内において、外国人滞在施設経営事業の用に供する施設の消防法令上の用途は、「旅館、ホテル、宿泊所その他これらに類するもの」とされます。
*民泊経営者が宿泊者を泊める時に不在とならない施設で、尚且つ、宿泊室の床面積の合計が50平方メートル以下ならば「住宅」という扱いになります。
使用開始の届出について
施設を新たに使用開始し、建物の用途を変更するときは、大阪市火災予防条例の規定により「防火対象物使用開始(変更)届出」が必要です。使用開始の7日前までに必ず大阪市消防長宛て提出してください。提出窓口は所轄消防署(予防担当)です。
消防用設備等について
建物の規模、用途等に応じて消防用設備等の設置が必要です。外国人滞在施設には面積にかかわらず、自動火災報知設備の設置が必須になります。その他の消防用設備等についても建物の状況に応じ設置が必要となります。
外国人滞在施設の入居により、新たに防火管理者の選任が必要となる場合があります。使用するじゅうたん、カーテン、布製ブラインド等は、防炎性能を有した防炎物品を使用する必要があります。「防炎」マークが表示されていることを確認してください。
消防用設備等の点検について
消防用設備等の設置が義務付けられた建物は、当該設備について定期的に点検し、点検の結果を消防署長に定期的に報告する必要があります。申請時点において、点検及び報告が適切に行なわれていることを確認してください。
報告の期間は、外国人滞在施設が入居する建物の報告の期間は1年となります。
避難経路図の掲出について
宿泊の用に供する各室内の見やすい箇所に、当該室から避難口及び避難器具設置場所に至る避難経路図の掲出が必要です。避難経路図の例
申請書・お役立ちリーフレットダウンロード
- 民泊において消防法令上求められる対応等に係るリーフレット
- 消防法令適合通知書交付申請書(簡易宿所・特区民泊)(DOC形式, 51.50KB)
- 消防法令適合通知書交付申請書(簡易宿所・特区民泊)(PDF形式, 125.03KB)
- 消防法令適合通知書交付申請書(住宅宿泊事業)(DOCX形式, 20.66KB)
- 消防法令適合通知書交付申請書(住宅宿泊事業)(PDF形式, 257.31KB)
step3 住民説明会
民泊を行うに際して、近隣にお住まいの住民の方に、事前に民泊営業をする事を告知し、実際に住民の方に内容を説明しなければなりません。
いつ、どこで、だれがやるの分かり易く記載したチラシを作成します。
実際に近所の家やマンションなどに訪問して留守であればポストに投函します。
告知をするに際に作成する用紙
対象物件から半径20mの建物に少しでもカブっているならチラシを配ります。当然、建物敷地は正円形ではないので、敷地に合わせて楕円形になることが多いです。
実際に配った範囲の地図も提出資料となりますので作成します。
実際に配ったリストも作成します。手渡しした所は内容も記載します。
指定の日時に伺い、集まった方に事業の説明を行います。そこで出た質問や苦情の処理の方法などをお聞きして、その場で答えられない質問には後日お返事をする旨を伝えます。また、事業開始後に出た苦情先なども具体的にご説明します。
その時に使用する具体的な内容を示した用紙
説明会が終われば、内容を記載した用紙を作成して提出します。また、後日説明会に参加できなかった方からの連絡があった場合も別に記載した用紙を作成して提出します。
step4 保健所へ申請
上記の環境局と消防署へ届出を行い、証明をもらい、いよいよ最終になるのが保健所です。こちらで申請を行い、立ち合い検査が終わると民泊として許可(特定認定)が貰えます。
大阪市のHPに大阪市国家戦略特別区域外国人滞在施設経営事業(特区)のところから必要な書類をダウンロードして項目を埋めていきます。
新規でする場合、下記の書類が必要となります。
1 法人の場合は定款又は寄附行為及び登記事項証明書(役員等の名簿も添付すること) 2 個人の場合は住民票の写し 3 賃貸借契約及びこれに付随する契約に係る約款(外国語表記とその日本語訳) 4 施設の構造設備を明らかにする図面 5 施設の周辺地域の住民に対する説明の方法及びその記録 (条例第3条に規定する説明会、開催案内及び書面の配布等の実施状況がわかる書類を含む) 6 施設の周辺地域の住民からの苦情及び問合せに適切に対応するための体制 及びその周知方法 (施設の構造設備及び滞在に必要な役務の提供等の概要を 含む)[様式2、様式2-2] 7 消防法令適合通知書の写し 8 水質検査成績書の写し(使用水が水道水以外の場合) 9 施設を事業に使用するための権利を有することを証する書面 10 付近見取図 11 居室内に備え付ける施設の使用方法に関する案内書(外国語表記とその日本語訳) 12 その他市長が必要と定める書類 |
保健所へ日時のアポイントを取り、書類を提出します。ここまで来ると書類が沢山になりますが、正・副作成して確認してもらい、問題なければ受領してもらえます。申請代21200円を支払い、立ち合いの日時を決めます。
決めた日時に保健所の方が物件に検査に来られます。必要な設備が整っているか確認して問題なければ後日特定認定の書類が交付されます。
立ち合い検査後、1~2週間後に認定書を受け取りに行きます。これで申請は以上です。
HPを掲載したら、後日保健所に届出を行います。